スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

羆嵐

 先月『大黒屋光太夫』を読んだが、吉村昭で思い出されるのは『羆嵐』である。この文庫本が、どういう経緯で僕のところにやって来て、どういった内容で、どこに消えて行ったか、さっぱり覚えていない。覚えているのは途中まで読んで、興味を持てず、読み切らなかったことぐらいである。ただ読む価値のある小説だろうということは心のどこかで思っていたのか、図書館で借りてきて20年振りに読んでみた。驚いたことに筋書きを全く覚えていなかった。いったい僕はどこまで読んだのか。しょせん読書なんて、そんなものか。大正4年の初冬、北海道の不毛な開拓地に現れた巨大なヒグマが2日間で6人の命を奪い、その果てには廃村にまで追いやられる実録である。いや作者による脚色も多いだろうから小説と言った方が正確かもしれない。小説としてのこの本の魅力が現れるのは、後半になってからの区長と粗暴な羆撃ちとのやり取りだろう。茶碗の中の焼酎が区長の顔に掛けられる場面は強烈である。厳しい開拓地で苦労を重ねた老練な男達の人生を垣間見ることができる。実話としてももちろん興味深く、1cmにも満たない薄い文庫本であることもあり一気に読んでしまったが、全体的に陰鬱で事は重大である。20年前の僕には読めなかったことが今読んでみて初めて理解できた。
スポンサーサイト

コメント

No title

私は大学2年の4月に読みました。当時の環境から考えると、読んですぐに貸したか勧めたのではないかと思います。大学4年の夏に増毛の現場にバイクで行きましたが、たいへん不気味な場所だったと印象に残っています。

20年を経てのご報告

 確かにね。当時、本を薦めてくれる友人など☆ぐらいしかいなかったから。しかし申し訳ないけれども、若かりしあの頃の僕にはこの吉村昭の話は読めませんでした。読めても爺さん達のやり取りは理解できなかったと思います。もらった文庫本はどこに横流ししてしまったのだろう。捨ててはいないので、どこかの誰かの本棚に並んでいるはず...

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー) URL

プロフィール

Glires

Author:Glires
生物学者の端くれ

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

天気予報

-天気予報コム- -FC2-
アクセスカウンター
水槽
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。