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算法少女

 娘の夏休みの宿題の一つに『算法少女』という文庫本を読むというのがあった。もともとは同書名で江戸時代に出版された和算書なのだが、当時親子二人で執筆されたこの本の成立過程を史実を基に小説にしたのが遠藤寛子著『算法少女』である。娘の本棚から引っ張り出して読んでみた。分かりやすく書かれていて子供向けの本とされているようだが、僕のような大人でもじゅうぶんに楽しむことができる、読む価値のある一冊だった。いくつもの興味深い事柄が、一冊の和算書が書かれるという一つの話に織り込まれている。実生活に活かすわけでなく算術を究める父、父に習って懸命に算術の勉強を積む娘、一方でそういったことに理解を示さぬ現実的な母。当時の算術の流派間の対立が物語を展開する原動力になっていて、主人公の少女あきもそんな争いに立ち向かってゆくのだが、算術を究めるという観点からはいかに無意味かということを諭される。多くの場面で理想的な女の子のように描かれているのでここは異彩を放っていて、科学者という立場から見ても非常に興味深い。一揆など当時の社会問題に、藩主の不自由さ、そして町人の自由さ、当時の人々の好奇心が見事に描かれている。算数や数学を嫌う子が多い現代、当時と今とで何が違うのかを考えてみる必要がある。
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