スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

大地の子

 僕が中国に対して好感を持っている一つの要因は中国残留日本人孤児であった。戦争のせいで本当の両親ではなく中国人を親に育てられた日本人達である。小学生の頃、そんなおばさんやおじさんたちが初来日し、テレビのニュースで流れた。日本人なのに外見はどう見ても中国人である。敵国であった国の子供達をここまで育て上げる、その慈悲深さに小学生ながら敬意を持ったものである。その背景を語ってくれたのは僕の母であった。しかし当時の母は、今の僕から見れば10歳も年下の、幼い小学生を持つ若いお母さんである。そんな女性がこの社会問題を正確に把握していたとは思えず、また、小学生である息子への説明も決して網羅的であったとは思えない。 年を経るにつれ、中国残留日本人孤児とは単なる心温まるような話ではないことを知り山崎豊子の『大地の子』を読まねばとかねがね思っていた。これまた長編なだけに読み始めるにあたっては気合いが必要で、なかなか手を出せなかったが、今年の正月明けから読み始め、2ヶ月かけ、今日読み終えたところである。これは想像を絶した決して無視することのできない、そして多くの日本人が知らない戦争の一側面である。これまでの人生で、誰一人としてこんなことは教えてくれなかった。解説に書かれていたが、山崎豊子は「残留」という「意志」を感じさせる言葉を嫌い、「戦争犠牲孤児」と呼ぶべきだと主張していたらしい。そして中国という国である。文化大革命、労働改造所、人民頼信来訪、第一次天安門事件 、外国人未開放地区、そして中国共産党の何たるかがこの本を読むことによって何となく理解できる。閉鎖国家である中国に自ら長期間滞在した山崎豊子の偉業のなせる業である。主人公を中心とする松本一家は僕と同じ長野県の出身である。多くの農家が養蚕業を営み、世界恐慌後に輸出が激減して苦境に追いやられ、多くの家族が満州に渡った。うちもそこそこの規模で養蚕をやっていたと聞くが、満州に渡るような話はあったのか。あるいは村長としてそのような働きかけをする立場にあったのではないか。主人公陸一心は最後「私は、大地の子です」と実の父親に告げる。今、僕もその歳である。そんな時にこの小説に出会うことができたのは実に幸運であった。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー) URL

プロフィール

Glires

Author:Glires
生物学者の端くれ

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

天気予報

-天気予報コム- -FC2-
アクセスカウンター
水槽
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。